TV bros『オタクの迷い道』連載第三十一回〜第四十回
ン1995-1998.Toshio OKADA all right reserved.
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◆『オタクの迷い道』#31 スイッチ業界ではエイリアンは定番だぞ



 同じ映画を観ても、人によってこだわりの部分が違う。これは別にオタクに限った事じゃない。例えばファッションなヤツは、俳優の服ばかり観ている。シャツや、帽子のかぶり方や、腕時計や、髪型に注目しているのだ。
 アニメファンは、作画ばかり観ていたりする。キャラの動き、爆発の煙、ロボットの巨大感。肝心のストーリーよりそっちが大事か。
 僕がつい注目してしまうのは「スイッチ」だ。スイッチはいい。押されるための存在という、その邪心のない機能美!銃器やナイフなんかよりずっとハードボイルドだ。
 スイッチにもいろいろある。押したら光るスイッチ。全天候用のゴムカバー付きスイッチ。金属製の切り替えスイッチ。非常用の透明プラスチックカバーを跳ね上げて、押し込むようにして使うスイッチ。右腕でつかんで半ひねりし、押し下げるスイッチ。必殺技の名前を叫びながら入れるスイッチ。エンジン出力をあげるために左手で握って、前へ押し出すスロットル。デジタル制御で動きが増幅されるため、前後左右に五ミリしか動かない高性能戦闘機の操縦レバー。ラジコン送信機についているプロポーショナルスティックのアナログレバーのゼロ位置を修正するトルク補正ダイヤル。勇者ライディーンがゴッドバードに変形する時に使う頭の上の二本のレバー。東宝映画「惑星大戦争」で、押すと右横にあるランプ群がピカピカ光ってくれるレーザー光線発射ボタン・・・
 一本の映画の中で心ふるわせるスイッチのデザインに出会うと、本当に幸せになれる。
 スイッチの他にも噴射ノズルとかディスプレイとか色々あるけど、今日はこのくらいで。本日は御静聴、誠にありがとうございました。


(近況)
おかだとしお 1月12日(日)に札幌の「かでる2・7」でオタクアミーゴスとしてトークライブ。札幌のオタクよ集まれ!



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◆『オタクの迷い道』#32 面白いけどツラいマンガの話



 NHK・BS放送の「BSマンガ夜話」という番組に出演した。毎回一つのマンガをネタに、数名のマニア達が徹底的に読み込む、という深夜番組の生番組だ。水が上から下へ流れる如く、話は濃い方へ濃い方へ流れる。番組に花を添えてくれるハズの女性陣は口をはさませてもらえない。何しろ番組が終わっても深夜の吉祥寺のファミレスでマンガ話の続きをするほどの「語り好き」ばかりである。楽屋も高校のマン研みたいな雰囲気だ。
 そんな楽しい仕事にも辛いことは待っていた。1月7日放映分のネタが「スラムダンク」なのだ。「スラムダンク」は昨年連載が終了した、コミックスの売り上げ一位(初版部数230万部!)という超メジャーマンガ。ところが平均年齢40歳のオジサン出演者達は、70年代のマンガなら資料も見ずに朝まで語れるのに、誰もスラムダンクをちゃんと読んだことが無かった。
 当然、まず全31巻を読むことから始めなければならない。
 「正月休みに読んどこうと思ってたのに、今日一日で読むことになっちゃったよ」と嘆く大月隆寛。「オレもまだ1/3しか読んでないよぉ」といしかわじゅん。「そんなこと言って、もう2/3位読んでるじゃないのぉ?」ほとんど試験勉強か宿題のノリだ。「おれ、明日出演じゃなくて良かった」という夏目房之助は、世界史を専攻してなくて喜ぶ理系学生。「そんなことよりエヴァの話、しようよ」という大月は、つい得意な教科ばかり勉強していまうタイプ。
 僕も今、一夜漬けの最中。予想以上にすごく面白いんだけど、放映まであと2時間で、今15巻目。ずぇったい間に合わないよぉ。

(近況)
おかだとしお 2月16日、オタクアミーゴス・イン・両国でぼくと握手!問い合わせはチケットぴあ03-5237-9999まで。



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◆『オタクの迷い道』#33 日本女性は海外でモテモテ!



 このコラムを読んでくれている女性の皆さん、いつも理解不能な単語ばかり並んでいてすいません。でも今回は素敵なあなたのために、とっておきの情報をお届けに来ました。
 あんがい知られていない事ですが、欧米諸国では日本女性は憧れの的です。「日本人のガールフレンドがいる」というのは1種のステイタスで、運良く日本女性をゲットした男はやたら彼女同伴でパーティーに出席したがる、という事実も確認されています。
 なぜでしょうか?実はそこにはオタク文化と切っても切れない関係があるのです。
 もちろん紅毛碧眼の彼らのこと、最初は誰しもハリウッド女優のような女の人を美しい、と思いこんでいます。しかし幼い頃から日本の優秀なアニメを見て育った男の子達は、初恋としてラムちゃんや響子さんに胸ときめかせます。そして彼らが大人になったとき、「日本のアニメのような女の子」にはっきりとした憧れを持つようになるのです。
 その何よりの証拠には、日本のマンガやアニメを置いているショップには、必ず日本のコンビニにあるようなグラビア雑誌が売られています。彼らは日本の女性の水着姿を見て「綺麗だなぁ」と憧れているのですね。
 いかがでしょうか?海の向こうの見知らぬオタク青年があなたを待っているのです。オタクはいいですよ。優しくて教養深く、けっして乱暴なことはしません。平均可処分所得も高い、というデータも出ています。彼氏候補として、一考の価値はあるでしょう。
 で、考えるついでにあなたの手近にいる国産のオタク青年も、ちょっと候補にあげてやってくれませんか?いや、やっぱ国産品も大事にしないと、ね。あ、やっぱダメ?
(近況)
おかだとしお 2月16日、オタクアミーゴス・イン・両国には国産オタクの集いです!チケットぴあ03-5237-9999まで。



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◆『オタクの迷い道』 #34 ヒゲ剃りクリーム臭かった夜の話



 オタク系映画雑誌「映画秘宝」の元編集長・町山氏の日本脱出パーティーに行ってきた。彼は「キネ旬パイ投げ事件」で発行元の洋泉社をクビになり、アメリカへ行くのだ。
 「キネ旬パイ投げ事件」とは何か?知らない人のために簡単に経緯を説明しよう。
 「映画秘宝・底抜け超大作」では、大予算・大スターの超大作映画の筈が、見事にすっころんで大惨事!!という映画ばかりをイヂワルに大特集。僕も腹を抱えて笑った。ところが映画批評誌の老舗「キネマ旬報」の副編集長M氏が、編集後記で「こんな雑誌はダメだ」と「底抜け超大作」をボロクソに批判した。
 それを読んだ町山氏は「キネ旬からの宣戦布告だぁ」と大喜び。わざわざシェービングクリームで作ったパイを持ってスタッフ数名を引き連れてキネ旬編集部に押し入り、副編集長Mさんにパイをぶつけた。この大バカ事件、意外なことに「映画秘宝」発行元の洋泉社内で大事件へと発展。結果的に町山氏は頭を丸めて編集長をクビになって一件落着。
 お別れパーティの会場モニターには、常盤貴子のオッパイが見れる「悪魔のKISS」とかの映像にまじって、パイ事件の一部始終が収録されているビデオも流されていた。襲撃を決行したスタッフは皆、黒のスーツに黒のサングラスという出で立ち。M氏にパイがぶつけられた瞬間の、隣にいたキネ旬のお姉さんの朗らかな笑い声がイイ味、出してたぞ。
 パーティのクライマックスでは、みんなで町山氏にパイをぶつけた。本当にバカだ。きっと彼らには「パイをぶつける」のも、エスキモーがハナをこすりあうというのと同様、友愛の情を示す行為なのだ。だからキネ旬の皆様、あんまり怒んないでやって下さい。
(近況)
おかだとしお ニフティサーブ・コメディフォーラムのオタクアミーゴス会議室、見てるか?2月23日大阪イベント情報もあるぞ!



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◆『オタクの迷い道』#35 久しぶりに模型界の伝承芸能を踊った



 先日、東京郊外にあるヴィンテージ・プラモデル専門店に行って、久しぶりに「買うた・やめた音頭」を2時間も踊らされてしまった。
 「買うた・やめた音頭」とは、プラモデル界に古くから伝わる踊りだ。模型屋でプラモの箱を半分引き出してはながめ、また戻し、別の棚の別の箱を半分引き出してはながめ、また戻す。この手や顔の動きと、その都度発せられる「これや!」とか「いや、でも」とか「やっぱり」とかいう言葉が、まわりから冷静に見ると、盆踊りでも踊っているようにみえることから命名されたものだ。
 模型好きなら名前は知らなくても、誰しも一度ならず踊った経験があると断言できる。いや、「買うた・やめた音頭」を踊らずして模型ファンを名乗ることなど出来ない。
 僕が踊ったこのお店は、品揃えの豊富さと値段の高さで定評がある。僕はこの店で初めて、「2001年のムーンバス」(二十万円)の現物を見た。「てなもんや三度笠」が八千円、というのは案外安かった。
 そこで僕は、見たことすら自分でも信じられない「ジョーズ」のプラモデルを発見した。鮫が波から体半分乗り出して、口を開いているディオラマだ。後ろには、沈みかけた船のマストにしがみついているロイ・シャイダーの背景がオマケに付いている。描き割りなのだ。こんなプラモの存在、誰も信じてくれない気がした。どうしても買わねば。
 でも、値段は2万円もした。
 これを買うくらいなら、ムーンバスの方が・・・いや、でも、やっぱり・・。
 僕は、天国と地獄をいったりきたりしているような気分で、「買うた・やめた音頭」を踊り続けるしかなかった。
(近況)
おかだとしお お笑いオタク本、「オタクアミーゴス!」をソフトバンクから出版した。書店でチェックしてくれ。



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◆『オタクの迷い道』#36 一生で一番「金なんかいらん!」と思った日



 コミケットに税務調査が入った。参加サークルにも調査が入るかも知れない。だけど税務署に判るんだろうか?あの狂乱の実態を。
 人気のブースでは1度に何千冊を売る。詰めかける客、客、客。並んでいる行列の最後尾をしめす看板持ちのスタッフ。「並び屋」と呼ばれる同人誌購入のバイト。目の前に並ぶ、お札を握りしめた手。お札を受け取り、おつりを渡す。お札を受け取り、おつりを渡す。並んでいる客も殺気だってくる。「売切か?」「早く買って次のブースへ!」売り子の「押さないで!」の怒声が繰り返し飛ぶ。お札を投げる奴もいる。一万円札は後ろの段ボール箱の中にどんどん投げ入れる。
 ブースと言っても幅1メートルのテーブルだ。その後ろには段ボール箱に放りこまれた一万円札の山と、持ち上げたら底が抜けそうな小銭の大箱。これを数えるのだ。お札を揃え、10枚の束を10個作り、輪ゴムをかける。会場の熱気と客の汗を吸いこんでクシャクシャのお札は揃えにくく、数えにくい。束ねていないお札はふやけて膨らみ、凄い体積だ。数えても数えても減らない。横目で小銭の箱を見ながら絶望する。銀行の窓口係のイヤそうな顔が頭に浮かぶ。狂気の頭で、半分捨てて帰ろうかと真剣に考えてしまう。
 僕はこんなイベントで何度も、お札を踏んだ経験がある。段ボール箱から溢れそうな一万円札に乗っかり、最初は靴を脱いでいたけど、しまいには靴のままでお札の山をぐいぐい踏んで、ガムテで蓋をした。そんな奴等に税務署は訊きに来るつもりなんだ。「おたくの売上げは?」なんて。なら、せめて当日代わりに数えてくれ!勝手に税金分持ってっていいからさ。
(近況)
おかだとしお 3月20日は岐阜のペーパームーン(0583-84-6693)で講演があるぞ。みんなのエヴァ愚痴はそこで聞こう(笑)。



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◆『オタクの迷い道』 #37 「恥ずかしい名前問題」を考える



 オタクのネーミングセンスは、いつも恥かしい。それはロックファンの一部が、お互いを「レイラ」とか「キース」とか呼び合っているのに似た「ベタ」の恥ずかしさだ。
 例えば、自転車に「轟天号」とか「初號機」なんていうおおげさな名前をつけてしまう。イラストレーターの開田裕二氏は「おおとり号」(「妖星ゴラス」というマイナー東宝特撮映画に登場するメカ)というマニアックな名前を付けていた。アニメーターの土器手氏は、初めて買ったベータのデッキに「響子さん」と名付けたそうだが、これも恥ずかしい。
 オタクは同じものが3つあれば、すかさずアン、ベティ、クララと名付ける。これは古典的SF映画「2001年宇宙の旅」に登場するスペースポッド(正式名称はポッドA、B、C)からの引用だ。
 自分の子供に「知世(原田知世)」とか「あすか(超少女アスカ)」とか「ヤマト」とかつけてしまうオタクな親も多い。Zガンダムのメカデザイナー・小林誠氏は、自分がデザインしたモビルスーツの名前から、誕生した男の子に「ジオ(地央)」と名づけたそうだ。これはちょっとカッコいいぞ。正しいオタクの生きる道って、三つ子が生まれたら、アン、ベティ、クララと名付ける事かもな。
 SF映画に登場するコンピュータにも、名前が付いている。エイリアンのマザー。2001年のHAL。大鉄人17のブレイン。そしてなぜか名前付きのコンピュータは、必ず人間に反抗したり、反乱を起こすのだ。
 オタク達よ、パソコンには名前を付けるのはガマンしよう。そんなことするとすぐにハングしたり爆弾が出たりするぞ。それはきっと、恥ずかしい名前のタタリなのだ。
(近況)
おかだとしお 2日のTV東京系「人間劇場」でオレのドキュメント放映。6日、池袋パルコでサイン会。渋谷パルコでは本棚を公開中。



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◆『オタクの迷い道』 #38 オタクの会社と人は言うなり
(この回より文章量が倍近く増えた)



 先日、めでたく会社を設立した。会社の名前は (株)オタキング。これで私も天下晴れて「オタキングの岡田斗司夫」になれたわけだ。今まで、影で私の活躍を妬んだり嫉んだりしていた心の狭い連中も、もう「あの岡田斗司夫(自称オタキング)」なんてパソコン通信に書くことはできない。ざまあみろ。
 まぁ会社と言っても、別に新たに事業を始めるわけではなく、私自身をより効率よくこき使う為に作った、こじんまりしたスタジオだ。事務所も僕以外に男が2人。もちろん二人とも重度のオタク者だ。
 柳瀬君は立体交差のオタク。高速道路が合流しているところを空から見ると、クローバー型とか涙滴型とか、実に様々な形を描いている。この立体交差の形を調べるのが好きなのだ。柳瀬君に、世界各国の立体交差の写真をスクラップブックに張り込んで作った、手作り写真集を見せて貰ったことがある。「これは効率のいい交差の仕方で、形がきれい」、「この交差は車線を変えずに、東西から南北の方向への乗り換えが可能」とか、嬉しそうに話しが止まらない彼に僕は訊いてみた。「で、この写真、どうするの?」すると彼は、少し恥ずかしそうな間があって「指でナゾるんですよ」と教えてくれた。もう、文句なくオタクだ。
 もう一人の佐藤君は、社員というより会社に住み込んで生活している。彼に関しては、○○オタクという分類は意味がない。人生へのアプローチそのものが、オタクなのだ。全身オタク、とでも言おうか。
 会社に住み着く、という理由も「住み込んでいれば、年中コレクションと一緒に暮らせる」という、オタク限定解除試験も一発合格の回答だ。コーヒーを頼むと、1杯1杯ドリップで丁寧に煎れてくれる。どんなに急いでる時でもだ。このオタク野郎め。
 先日、彼に本棚の購入を依頼した。3階の一室を書庫にするためだ。「わかりました!」とすごく嬉しそうに出ていった彼は、ミリ単位で引かれた図面を手にやってきた。
「このように本棚を置くと14本入りますが、通路が580ミリになってしまいます。通路を650ミリ確保すると、本棚は10本です。岡田さん、580ミリでも大丈夫ですか?」思わず「580ミリってどれ位?」と訊くと、即座に両手で「これ位です!」と答えてくれた。
 「それと」と彼は畳みかけるように言う。「本棚が倒れないように、全部の本棚の下に奥行きより20ミリ長い板を打ちつける必要があります。が14本の本棚を設置した時、奥の本棚を見ようとすると、必ずこの位置で体が左側を向くことになります。その時、左足の小指が、いくら考えてもこの板にひっかかるに違いないのです。岡田さん、どうしましょう?この部分だけ、この20ミリの板をとってしまってもいいでしょうか?」
 僕はこんな愉快な仲間達と、毎日を過ごしている。きっと社名を「オタキング」なんかにした呪いに違いない。
(近況)
おかだとしお 4月20日はオタクアミーゴス公演・大阪市立中央会館・チケットぴあ・06-363-9999【Pコード:414-641】。NIFTYではFCOMEDYSのアミーゴス会議室で会えるぞ。



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◆『オタクの迷い道』#39 ヒロスエはプラグスーツを着ろ!



 劇場版の「エヴァンゲリオン」を見た眠田直氏は、TV版以上にカヲル君がよかったと大喜びしていた。眠田家では、奥さんまでカヲル君萌え萌え(注:ラブラブである、という意のオタク用語)状態で、夫婦して盛り上がっているらしい。
 でも僕には、カヲル君に萌え萌えなんていう気持ちが、さっぱりわからない。
 「カヲル君って、要するにキザで不思議な美少年だろ。オレの中ではあんな奴、『ちびまる子ちゃんの花輪君』の声で喋ってるぜ」と僕が言うと、まわりにいたオタク達全員の目が点になった。確かにそう言われてみれば、カヲル君の声優には、花輪君の声がピッタリなカンジがする。「ヘーイ、ベイビー。歌はいいねぇ。インドの歌はもっといいけど」とか、いかにもいいそうじゃないか!
 が、さすがオタクたち、すぐに立ち直ると、口々に、「じゃあ、まるちゃんはアヤナミ?」「アスカはタマちゃんか!?」とか、大騒ぎになった。
 「違う。みんなちっとも判ってないね。アスカは、『私、加持さんが好きなの、ウフーン』と無理矢理つきまとうキャラ、要するに、みぎわさんだよ。」と僕は決めつけた。
 こうなるともう止まらない。
 「無口で何を考えているのかわからないアヤナミは、暗くてお笑いマニアの野口さんだね。」
 「いつもいじけて心の中でボソボソ文句ばかり言っているシンジ君は、永沢くんかな。でも友達に卑怯と言われて悩んでばかりいる、唇の青い藤木くんの方がいいかもな」
 話は、どこまでも盛り上がる。
「トウジがハマジって、ハマリすぎでつまんないな」「第三使徒サキエルは、バカの山田だな。あいつがガハガハ、大口開けて笑っている顔って、人間離れしてるもんね」「碇ゲンドウは、父ヒロシしかないかな。わがままで、『てやんでぇ、ゼーレのシナリオなんか知ったことかい!』とか言いそうだし」「ミサトは、面倒見はいいけどすぐ怒る、まるちゃんのお母さん」「リツコは、いつもクールなまるちゃんのお姉ちゃん。ごくたまにセンチになったりするとこもピッタリ」
 一番の傑作は「初号機は、まるちゃんのおじいちゃん。せっかく発進したのに敵との戦闘が無かった時は、『初号機、心の俳句』を寂しく詠む」
 エヴァファンの心は、笑いながらもガラガラ崩れていった。う〜ん、みんなの夢を壊すのって楽しいなぁ。
 オタクは昔から、スターウォーズをトレンドドラマの配役で考えてみたり、といった遊びには熱心だ。「アヤナミは広末涼子」「榎本加奈子に赤いプラグスーツを着せたい!!」なんて決めている奴も多いだろう。春先になると、いきなり知らない人に語り始めたりする困ったオタクもいる。
 エヴァまる子ちゃんの後、話は、ファイブスター物語の配役に流れていった。熱狂的なファンの僕は、「クローソーは中山エミリだよね」と提案したが、みんなの意見は違った。
「アマテラスはローリー寺西」「デコース・ワイズメルは木村一八」「コーラス3世は藤岡弘」「ナイト・オブ・ゴールドは愛染恭子(リーゼント、全裸に金粉付き)」「ジュノーンはジャイアント馬場」
あああ、今度は僕の夢が壊されていくぅ〜。
(近況) 
おかだとしお インターネットに入れる人はhttp://www.NetCity.OR.JP/OTAKU/okada/に、NIFTYに入れる人はCOMEDYSフォーラムのオタクアミーゴス会議室に来てくれ。



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◆『オタクの迷い道』#40 あなたのリモコン、いかがですか?



 ライターの渡辺由美子さんから、濃いメールを貰った。面白いから全文、掲載する。

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 唐突ですが岡田さんは、リモコンはどんなものがお好きですか? 昨日ダンナや友人と飲んだ時、おたくはリモコンの選びにも、それぞれ主義主張があることがわかりまして……。
 私が好きなのは、最近(3月31日)買ったビクターのSーVHSについてたものなんですが、持つ部分が上が広く、真ん中あたりできゅっと狭くなっていて、手が小さい人にも持ちやすい、人間工学に基づいたつくりをしてるんです。一時停止、タイムスキャンも片手でできます。ボタンはちゃんと色分けされて、文字も全部日本語で、「再生」どころか「記憶」とか「CMスキップ」「のんびりトーク」なんてものまで、何がなんでも日本語にしないと気が済まないというありさまです。私はリモコンという機械が何をするためのものなのか、こいつのおかげでようやくわかりました。
 ところがダンナは、私が一番嫌いなソニーのリモコンが大好きなんです。横幅何ミリというボタンがすべて同じ大きさで、しかも等間隔に30個ズラズラ並んでいる恐怖のリモコンは、もちろん英語と数字しか書いてないので、私には何年経ってもわかりません。「何でこんなのとってあるの? いらないよー」と言うと、彼は「何を言ってるの。これは家にあるベータの古いのも新型もパナソニックのVもサンヨーのSVもビクターのSVも8ミリもパイオニアのLDもMDも、みんなこれひとつで動かせるんだよ!」動かせるのはあなただけでは……。結婚した当時、TVもつけられなかった我が家。TVをつけるという作業を、私は紙に書いて覚えました。
「モニターの電源を入れる。セレクターの電源を入れる。セレクターのモードを切り替える。ビデオのタイマー録画を確認。ビデオの電源を入れる。チャンネルを替える。音声モードを切り替える。音量ツマミをTVの音量に合わせる」。実家の父が来た時に、TVはこうやってつけるんだよ、と教えたら、短気な父は「そんなTVなら、いらん!」と怒鳴りました……。
 とにかく大変なダンナの大変なリモコンなんですが、昨日の友人は、ダンナの命のようなリモコンたちに異議を唱えました。
「何ですか、これ」「ああ、これはベータのリモコン。使い易いように傾斜がついているんですよ」「だめですよぉぉぉぉーーーー。それじゃあ!!!」「何で?」「こんな形じゃー全部、上に積めないじゃないですかぁぁぁぁ!!!」
 その友人にとっての「いいリモコン」の定義は、「上にいくらでも重ねて積めること」なのだそうです。
 岡田さんのリモコンはいかがですか?今度御会いする時に教えて下さいませ。
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 リモコンはいかがですか、って言われてもなぁ・・・。

(近況) おかだとしお 26日からNHK・BSマンガ夜話に連続で出演。いつものメンバーなので同窓会みたいで楽しい。同じ日に創刊される週刊アスキーでも連載を始めたので見てくれ。




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